幼児教育の祖フレーベルから学べること。ドイツのフレーベル博物館で恩物や幼児教育についての学び

2017.10.4
オーバーワイズバッハでフレーベル博物館や生家で、恩物(幼児用教育的遊具)についての説明など色々受けてきました。フレ―ベルは幼児教育の祖と言われているし学ぶことは多いですね。小さな博物館ですが色々な恩物があり、興味深いですよ。娘用(1歳になる前頃だったかな)にもしっかり恩物を購入しました♪
その他、バートブランケンブルク等で幼稚園見学など、ドイツの幼児教育について色々学んできました。

フリードリヒ・ヴィルヘルム・アウグスト・フレーベル/Friedrich Wilhelm August Fröbel

幼児教育の祖といわれているフレーベル(1782年 – 1852年)。ドイツの教育学者です。
より小さな子どもたちの教育の為にと、就学前の子どもたちのための教育に一生を捧げた人物です。その当時ヨーロッパで生まれた、人間の感受性や主体性を尊重するロマン主義を幼児教育に持ち込みました。子供の本質を神的なものとして捉え、子どもの発達に対して受動的、追随的な教育を主張し、命令的、規定的、干渉的であってはならないとしました。
庭師が植物の特性を見極め、その植物に合った働きかけをし成長させるように、教育者も子どもの特性を見極め成長の「手助け」をするよう働きかけなけらばならないとし、そこから彼のKindergarten―幼稚園(子供達の庭)という名称が生まれたそうです。

「人間は幼児期から人類の一員であると認識され、保育されるべきである」とフレーベルは考え、幼少期からの教育は必要だと考えました。
幼児教育というと、勉強など小難しい感じを想像する方もいますが、実はフレーベルの考えは、先生や親が何かを教えたり干渉したりするのではなく、子どもが自ら自然と成長していくという大前提があります。
自分の特性を表現したり個性を伸ばす力を身に付け成長させることが大切。

幼稚園(Kindergarten)という言葉は、フレーベルの造語で、世界の多くの国々で幼児教育のための学校を、Kindergarten、Kindergarden と呼んでいます。日本の「幼稚園」もそれを翻訳したもの。 お絵かき、お遊戯、生活体験などが重視され、遊べる園庭と花壇がある状態は、彼のコンセプトを受け継いでいることになるのだと思います。
また、彼は人間の発達の連続性を主張し、この立場から子供の共感的理解と、それに基づく教育を擁護し、早教育に反対したそうです。
彼は幼稚園の教育内容は、遊びや作業を中心にすべきものと考え、そのために遊具を考案し、花壇や菜園や果樹園からなる庭を幼稚園に必ず設置すべきであると主張しました。

フレーベルの幼児教育の思想に「自然」は重要。
庭で遊んで庭を育てるという感覚とは、「自然」に触れながら自然と遊びが生まれる、その遊びのなかで個々の視点での発見がある。そんな環境のなかで楽しむ・遊ぶ・様々な体験をすることによって観察力や知識を養っていくという事なのでしょう。

フレーベルは、教育のための玩具としてGabe「恩物(おんぶつ)」を開発したことでも知られています。
これは、球や立方体などの数学的な原理の学習や生活の周囲にあるものをそれで表現したりして遊ぶもので、教育玩具の始まりをなすものといってもいいのではないでしょうか。国内のいくつかの幼稚園では、これを幼児教育に積極的に活用しているところがある。バウハウスの発想やその教育にも影響を及ぼしたとされています。

フレーベル博物館

学芸員の方による恩物の説明も。

フレーベルの恩物(幼児用教育的遊具)とは?

今回ドイツで触れたこの恩物は、子どもの想像力だけではなく、色や形への興味の種をまくという視点もあるのかなと感じました。
専門の造形的な視点からみると、触れることから始まる子どもの行為に対し、にぎったり、ゆれたり。また、ものを自由に持てるようになると、今度は、2つ以上のものを組み合わせることができる。
合わさると別な形が出現することの発見を通して、形の不思議に自然と関心を持っていく。
そんな流れがデザインされているのが恩物なのかなと!

この構成する力が、恩物以外の出来事のなかでみえてくることが、最も大事なことに思います。
発見する気持ちや、組み合わせる面白さ、形や配色の意図を、自ら生み出せるようになることにつながることが大事なんだろうなと、フレーベルはそんなことを考えながら恩物をつくったのだろうなと・・・!

自分でも遊んでみましたが、形を構成している比率がバランスよくできているので、だれがつくってもきれいな形になるようにつくられています。
そのため、指導者の「行為を発展させる声かけ」ができるか、その声かけと見守りが重要になるのだろうなと思いました。
均衡のとれた形に幼少期に触れることは、どのようの意味を持つのか・・。気になりますね~。

現在、日本の学校教育のなかでは「造形遊び」という枠組みがあります。
例えば、教室にあるものを並べたりし、教室という空間に、自分と他者との関係性のなかから、扱う「ものと対話」しながらどのような造形ができるのか、子どもたちの発想(主体性)で進みます。
同じものを扱っても、例えば校庭で作品化を試みれば、全く異なるアプローチが生まれます。
また、1人で製作するのと、複数人で製作するのでは、作品は異なる変化を示します。
恩物という構成する経験を土台に、環境に働きかける造形遊びへのつながりを、考えてみるのもおもしろい♪

フレーベル生家やその近くの教会

生家ではご子息(右)からお話を伺えたりも。

フレーベルが通った?であろう生家近くの教会
生家の近くにある教会にも立ち寄りました。

ラディソンブルパークホテル & コンファレンスセンター ドレスデン ラーデボイル

今回はドレスデンのホテルに宿泊。
娘用に購入したドイツの恩物を開けてちょっと遊んでみたり、部屋でくつろいでいると、外から鐘の音(教会?)が聞こえてきました。
良い感じ。

>S+N laboratory/Yuruku papa

S+N laboratory/Yuruku papa

忙しくなっても、ゆるりとするりと生きていきたいYuruku papaとおおざっぱさと細かさが同居するYuruku mama、0歳と5歳の娘の4人で、S+N laboratoryのアート活動と美術教育研究、暮らしや子育てに日々奮闘中。

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